西武のドラフト4位、青山美夏人投手(22)は人知れず“ある感情”を抑えていた。

プロ初セーブを挙げた。両親への思いを問われると「やったぞ、やり返したぞ、って言いたいです」と笑顔で胸を張った。

3点差を守り、チームを今季初勝利に導いた。お立ち台に立った。「初めてづくしで。変な感覚っていうか。プロになったんだなって思いました」とあどけなさの残る表情で照れた。

開幕戦の9回、同点弾を浴びた。「早く投げたい。早くリベンジしたい」。悔しさは出さずとも、ボールには確かに乗り移った。

しかし。

悲しみだけは、誰にも見せなかった。

リベンジを期していた2日の試合前、父洋さんからLINEが届いた。

「ばあちゃんが今朝、亡くなりました。試合に出たら頑張ってくれ」

祖母の佳園子(かえこ)さんが2日未明、息を引き取った。84歳だった。

「自分、ばあちゃん子だったんですよ。小さい時とかも、近くに住んでいたので、泊まりに行ったりもして。本当に優しくて。自分、1人っ子だったので」

開幕戦で打たれ、翌1日もチームは敗れた。「開幕戦の夜よりは、負けが続いちゃったので、昨日の夜のほうが寝られなかったです」。寮のベッドで責任を感じていた、そんな時間帯のことだった。

「これから長いシーズンになると思いますが、自分がしっかり最後を締めくくって、もっともっと勝利を届けたいと思います」

ばあちゃんのために-。満員のファンに笑顔で誓ったその裏で、好青年は涙を隠していた。【金子真仁】

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