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元中日・岩瀬仁紀 歴代最多407セーブの鉄腕が語るクローザー論 「抑えはチームを支える屋台骨。その気概を持って投げていた」 | 野球コラム - 週刊ベースボールONLINE - 週刊ベースボールONLINE

中継ぎからクローザーへ転向したのは6年目。そこから長きにわたってチームに勝利をもたらした。通算407セーブは1002試合登板とともに圧巻の日本記録。クローザーを語る上で、この男の言葉は欠かせない。
構成=牧野正 写真=BBM

最大の武器でもあるスライダーで407セーブを挙げた。NPBで300セーブ以上は岩瀬ただ一人だ


完璧を求めては苦しい 勝って終わらせるのみ


 抑えはチームの勝敗が直結するところですからね。勝っているゲームの最後を締める大事な役割。自分がチームの屋台骨を背負っているんだと、そういう気概を持って投げていました。自分は(プロ6年目に)中継ぎからの転向でしたが、抑えはやってみたいような、でも少し怖いような気持ちでいました。いざ(落合博満監督に)抑えをやれと告げられたときは、これは相当な覚悟を持ってやらないと務まらないぞと。責任がまったく違いますから。実際にやってみてそのとおりでした。

 中継ぎは自分の後ろがいる。でも抑えはいない。自分の代わりに投げてくれる投手はもういないし、いたらダメなわけです。また中継ぎのときは最後のアウトがどこか分からない。見当はついていても、投げていて「交代」と言われて初めて代わることができる。でも抑えは最後のアウトがはっきりと分かり、だからこそ難しい。その最後のアウト1つをどう奪うか。どうしても意識してしまうし、急いでしまう。自分の中ではそこを冷静に、落ち着いているように見せるのが難しかった。

 抑えになっても当然、自分のピッチングが変わるわけではなかったんですが、だんだんと点差なりのピッチングをすることが大事だと考えるようになりました。要は「勝って終わればOK」という考え。そう思うまでには少し時間がかかりましたが、つまりゼロ(無得点)で抑えるに越したことはないんですが、すべての試合をゼロで抑えようとすると、どこかで無理が来る。四球を出さない、安打も許さない、完璧を求めてしまうとピッチングが窮屈になりがちで、ここは歩かせてもいい、1点まではOKと割り切ることができれば楽に投げられる。もちろん1点差ではできませんが、2点差なら1点、3点差なら2点まではいいと思えるかどうか。この1人、2人の走者をかえしたところで追いつかれるわけではないので、得点差と走者を考えて投げられるようになりました。

 抑えの仕事は何か。勝って終わらせることなので・・・

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