浦和戦、試合中に吠えた大迫 [写真]=J.LEAGUE
チームに勇気をもたらすビッグセーブだった。サンフレッチェ広島のGK大迫敬介は、10月1日に行われた明治安田生命J1リーグ第31節の浦和レッズ戦にフル出場し、好セーブ連発で快勝に貢献。シーズン終盤で、守護神の際立つ活躍がチームを勢いづけている。
強い日差しが照りつけた秋晴れのエディオンスタジアム広島で、今季最多1万7421人の観客を前に浦和を迎え撃った。広島は立ち上がりから主導権を握り、22分にMF森島司がハイプレスから相手のミスを粘り強くゴールにつなげ、先制に成功した。62分には森島のグラウンダークロスからDF荒木隼人が追加点を奪い、71分に敵陣でのボール奪取から素早くMF満田誠が左足シュートを沈めて3点差。76分に失点したものの、83分に満田が直接FKを突き刺し、4-1で快勝した。
今季の広島らしい激しいプレスで勝利を掴んだ。ミヒャエル・スキッベ監督は試合後の会見でハイプレスがハマった理由について、「常に前から行こうと言っているし、今日はいつもより勇敢に、勇気を持って前に行けたところが、非常にうまくいった秘訣だと思う」と説明した。
前線からの勇敢な姿勢が快勝につながったが、忘れてはいけないのが守備陣の安定感だ。広島の持ち味のハイプレスは、かわされたときに失点のリスクが高くなる。それでも強気に前を向けるのは、守備陣の活躍があってこそだろう。浦和戦では特に大迫の好セーブ連発がチームを勢いづけた。スキッベ監督は試合後に守護神の活躍をこう称えた。
「ディフェンスライン3人と一緒に守ってくれているし、もちろんディフェンスを安定させる要因の1つとして、欠かせない要素になっている。自分たちは前から行くディフェンスをしているが、浦和のようなクオリティのあるチームと対戦したときには何回か(プレスを)抜けられるシーンもある。そういったときにしっかりと対応できているので、(大迫は)自分たちの成功の要因の1人になっている」
指揮官の言葉を表すシーンは、1点リードで迎えた前半アディショナルタイム1分のこと。浦和に最終ラインからパスをつながれ、最後はペナルティエリア内で味方とうまく入れ替わったMF大久保智明から強烈なシュートを浴びた。これを、大迫は細かくポジションを調節しつつ、左足でシュートをストップ。「角度もそんなになかったし、もちろん距離も近くて少し難しい状況ではあったけど、味方もコースを限定してくれたし、冷静に対応できました」と振り返った。
この好セーブで相手に流れを渡さなかった。先発出場したMF野津田岳人は、「前半終盤のうまくいかない時間にセーブしてくれて、また自分たちも前向きにいけたので、すごく感謝です」と勇気をもらっていた。浦和のリカルド・ロドリゲス監督は試合後の会見で、「特に前半終盤の大事な時間に点を取ることができていれば、もしかしたら展開が変わっていたかもしれない」と悔やんだ。前半の大迫の好セーブがこの試合の転機だった。
さらに、失点直前の75分には守護神に最大の見せ場が訪れた。中盤で浦和にプレスをかわされ、ペナルティエリア内へ抜けたFWキャスパー・ユンカーにラストパスを許すと、中央のFWブライアン・リンセンがゴール前で3人に囲まれながらもシュート。「やられた」と思わせる決定的なシーンだった。
だが、これに大迫は抜群の反応を見せた。至近距離からのシュートに対し、体を張ってブロック。さらにリンセンも粘りを見せて、こぼれ球を頭で押し込もうとする。大迫は最初のセーブで姿勢を崩していたが、すぐさま飛び上がり、頭上のボールに食らいついてボールを掻き出した。スタジアムを大きく沸かす、圧巻の連続ビッグセーブだった。
超人的な好守連発。大迫はその瞬間を「覚えていないですね。体が本当に勝手に動いた感じです」と明かした。日頃の練習や試合で培ってきた経験や自信を表すような、研ぎ澄まされたセーブだった。
「そこ(シュートシーン)まで持ってこられるときに、いかに自分の頭の中をクリアにできるか、冷静になれるか、そういうところでいい感覚を持ってプレーできている。相手のカウンターを食らっても、ピンチになっても焦らず、しっかり自分のいい準備をすることが大事だと思っている」
ゴール前まで守備に戻っていた野津田は味方のスーパープレーを間近で見て、「シビれるようなセーブだった。『すげえな』っていうのと、『まじでサンキュー』っていう気持ちになって、すごく勇気づけられた」と感嘆の声を上げた。ただ、大迫本人は直後のCKから失点したことで、「(決定的なシュート2本を)止めたからこそ、直後の失点が悔やまれるし、セットプレーのところもまた1つチームとしていい課題が出たなと思う」と気を引き締めることを忘れていなかった。
インパクトあるビッグセーブは、今後の試合でもチームメイトに勇気を与えそうだ。野津田は大迫について、「いつも止めてくれているけど、特に最近のパフォーマンスにはすごく助けられている。ああいうピンチを止めてくれると、チームとしても助かるし、信頼できるGKだと思う」と話す。この守護神への信頼が、チームの勇敢な姿勢を後押しする。
シーズン終盤に入り、タイトルを見据える広島は1つでも上を目指す重要な戦いが続く。緊張感が高まる試合が多くなるが、大迫は自信を胸に最後尾で堂々と構える。「攻め込まれても焦られなくなったし、止められる自信があるし、すごく落ち着いて対応ができている」。広島にはチームに勇気をもたらす守護神がいる。その存在が今季のラストスパートを加速させるはずだ。
取材・文=湊昂大
味方も「シビれた」ビッグセーブ…広島に勇気をもたらす“守護神”大迫敬介 - SOCCER KING
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