トランプ米大統領は3日に投開票された大統領選で「不正がある」と主張し続けている。米主要テレビ局は5日、「虚偽の発言」だとしてトランプ氏の記者会見を中継の途中で打ち切る異例の対応を取った。主流メディアが否定しても、まるで「異なる真実」の世界に生きているように、不正を信じる人がいる。なぜなのか――。【長野宏美】
メディアと違う視点=「悪」に分類と主張
「選挙報道は忌まわしい。今に始まったわけではないけれど」
南部テネシー州の機械工、ジョシュア・ドレイパーさん(35)は嘆く。ドレイパーさんとは2018年11月の中間選挙を前に州内で開かれたトランプ氏の集会で初めて会った。当時は「トランプのおかげで好景気になり、給料が上がった」と喜んでいた。
再び連絡すると今回もトランプ氏に投票したという。民主党のバイデン前副大統領の「勝利」をメディアが伝えているが、「不正を確信している」という。「何百人もの人が投票の集計を監視するのを拒否された」「民主党(首長ら)が運営する都市では開票のプロセスが隠された」――。ドレイパーさんの指摘はトランプ氏や共和党の政治家をはじめ、ソーシャルメディアでも拡散されているが、ファクトチェック機関の「ポリティファクト」は「大うそ」などと否定している。
主流メディアが「不正はない」と報じていることについて、「米メディアの報道は間違いなく一つの政治的視点のみを支持している」と反論し、「その視点を共有しない人は陰謀論者か差別や偏見に満ちた人か、それより悪い分類をされる」と嘆いた。同州は共和党の強い「赤い州」だが、政治の話は親しい友人や家族とするだけ。ソーシャルメディアの投稿も含めトランプ氏への支持を公にしていないという。
異なる内容伝えるネットメディアを情報源に
ドレイパーさんは警察官による黒人への暴力を契機に広がった抗議運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ、BL…
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