システムの複雑化と新技術への対応がデータ保護のボトルネックに?
既に企業の最重要資産の1つとなったデジタルデータ。その適正な「管理」と「保護」はデジタル変革時代の企業に課せられた必須命題だといえるだろう。しかし、その実現は容易なことではない。IT環境が急速に変化しているからだ。
Dell Technologiesが2020年3月に発表した「Global Data Protection Index」(※1)によると、企業内で管理する平均データ量は、調査開始時の2016年には1.45PBだったが、2019年には13.53PBと831%も増えている。さらに、デジタルデータ活用を戦略的投資分野と位置付け、実際にデータを収益化につなげている企業は40%にも達し、その数は増加傾向にある。
それとともに障害インシデントによる影響も拡大。過去12カ月にデータロスやダウンタイムを経験した企業の割合は82%に達し、向こう12カ月でこうした障害の発生を懸念する企業の割合も68%にのぼるという。
理由の1つとして考えられるのが、プラットフォームの多様化に伴うデータ保護システムの複雑化だ。調査結果によると、2社以上の複数ベンダーからデータ保護ソリューションを導入する「ベスト・オブ・ブリード型」の企業は全体の80%にのぼるが、そのほとんどが「現在のデータ保護環境では将来予想されるニーズに対応できない」と考えているという。
また、AI、IoT、クラウドネイティブアプリケーション、5Gやエッジコンピューティングなどの最新テクノロジーのデータ保護も大きな課題だ。データ保護がこれまで以上に複雑になる中、最新テクノロジーを導入した約半数が適切なデータ保護ソリューションを見つけられていない(図1)。
こうした状況の中、自社に必要なデジタル変革時代のデータ保護戦略をどう立案すべきなのだろうか。その有力な「ガイドブック」が先ごろ公開された。次頁以降で、このガイドブックをひも解き、デジタル変革時代のデータ保護戦略を考察したい。
※1 2014年から隔年ごとに実施するデータ保護の現状と課題に関するグローバルなアンケート調査。今回は日本を含む世界15カ国、1000名のIT意思決定者が対象
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