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地方の鉄道網 インフラ守る現実策を探れ - 読売新聞

 人口が減少する中で、地方の鉄道網をどう存続させるのか。JRや自治体は現実を直視し、将来像を考えるべきだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、鉄道会社の事業基盤が揺らいでいる。JRグループ旅客6社の2020年3月期連結決算は、全社が減収となった。旅行や出張の自粛を受け、本業の鉄道事業の収入が激減した。

 特に憂慮されるのが、多くの不採算路線を抱えるJR四国とJR北海道の事業の先行きである。

 国土交通省は3月、国の支援を受けるJR四国に対し、初めて経営改善を指導した。経営自立計画で目標とした20年度末の黒字化が困難となったためだ。

 国交省は、地域と連携した利用促進やコスト削減などを求める。自助努力は大切だが、自力での解決が難しい面もある。

 JR四国が昨春、公表した路線ごとの収支では、全9路線18区間中17区間が赤字だった。100円の収入を得るのに1100円以上の費用がかかる区間もあった。

 重要なのは、地域の交通網を守る地元自治体の協力だ。

 JR四国は、バスへの転換や、線路と駅舎の維持管理を自治体に任せる「上下分離方式」などを四国4県に提案している。だが、各県は難色を示す。国の支援ばかりに頼るのは無責任ではないか。

 国の監督下で経営改善を進めるJR北海道は、札沼線の一部区間を廃止した。バスへの切り替えの代わりに資金援助などを行うことで、沿線自治体と折り合った。

 他の交通手段の活用など、自治体も一緒に現実的な解決策を模索することが求められよう。

 赤字の穴埋めには、商業施設やホテルなど事業の多角化も有効になる。ただ、こちらも訪日外国人客の急減に見舞われている。

 JR北海道は、新幹線の延伸に向け札幌駅周辺の再開発を進めるが、収益への効果は不透明だ。

 流通・外食など鉄道以外の売り上げを全体の6割以上に伸ばしたJR九州は、上場も果たした。今はコロナ禍の逆風が吹く。

 本業も厳しい。初めて区間別収支の一部を公表し、17区間で年間50億円を超す赤字を出したと説明した。訪日客に頼らない国内観光のてこ入れなどが課題となる。

 JR四国、JR北海道の2社は、国の経営安定基金の運用益で収益を補う。だが、低金利で運用益は減少している。赤字路線を維持する選択肢は狭まってきた。各社が自治体と連携を強め、方策を再検討する時期に来ている。

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May 31, 2020 at 03:00AM
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