「世界の海は1秒に広島に落ちた原子爆弾5個分の熱量を受けて熱くなっている」。大気科学誌(AAS)に発表された論文中の表現だ。14人の多国籍の科学者で構成された国際研究チームは、1950年から昨年まで全世界の海洋の海底2千メートル地点の水温を測定した結果、この5年間が測定が始まって以来、海水温度が最も高かった期間だと明らかにした。
地球の表面積の7割を超える海の温度上昇は、地球温暖化に関する警告の中で最も強力だ。海が熱くなれば北極と南極の氷がはやく溶け、海水面が上昇する。海水面の上昇は、海の面積が広くなることを意味するが、一般的に海は地表面より太陽光を少なく反射し、二酸化炭素も少なく吸収するので、海の面積が広くなれば地球温暖化が加速する。
また、海の温度上昇で、大気中の二酸化炭素量の2倍の1兆8千億トンを含有している北極の永久凍土層が溶ける場合、莫大な量の二酸化炭素が大気中に噴出し、地球温暖化を深刻化させる。二酸化炭素が地球温暖化の代表的な原因の1つである温室効果ガスの主成分だからだ。
さらに大きな問題は、海の自浄能力が低下し、地球温暖化の調停者としての能力が下がることだ。海は熱だけでなく二酸化炭素も吸い込み、地球温暖化を防ぐ役割をする。2014年に発表されたグローバル炭素収支報告書によると、13年に大気中に排出された二酸化炭素の26%を海が吸収した。数値で換算すれば、概ね毎年100億トンの二酸化炭素を吸収している計算になる。そのうち相当量は、海草の光合成作用など海中の生態系の自浄作用で解決した。しかし自浄作用の限界値を超えた二酸化炭素の流入で海中の砂漠化が進行し、結局、海の自浄能力が低下することになったのだ。
にもかかわらず、地球温暖化は米国の気候条約の離脱で見るように、経済問題より後まわしになったり未来の問題と見なされるのが常だ。しかし、私たちが肝に銘じなければならないことは、これまでのように海が持ちこたえることができなければ、地球温暖化は直ちに現在の災いに急変するということだ。海水温度が上昇すれば雨が降り、この雨が蒸発する方法にも変化が起き、乾燥した地域はさらに乾燥し、湿気の多い地域はさらに湿気が多くなる。必然的に台風や火災といった自然災害が増え、人類が居住できる地域もますます狭くなるほかない。最近になって世界各地で大きな被害を与えているスーパー台風は、このような気候変化の産物だ。
海中の生態系を保護することは地球温暖化を解決するのに最も直接的な影響を与えるという点で多くの関心と努力が必要だ。幸い、韓国政府は2012年に世界で初めて5月10日を海の植樹日に指定し、海草類を植えるなど海の生態系の回復に努めている。海の植樹日を利用した海の生態系の復元をK-POPやK防疫に続き新たな韓流の一分野に含めることができるなら、人類は地球温暖化の問題解決にさらに一歩近づけるだろう。
李恩澤 nabi@donga.com
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May 16, 2020 at 06:56AM
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