近年、ブラウザや規制当局による広告主のサイト訪問者へのプロファイリングとターゲティングへの規制が進んでおり、デジタル広告ビジネスは流動的な状態にある。
3月2日から4日にかけて米DIGIDAYがクロアチアのドブロブニクで行ったDIGIDAY PUBLISHING SUMMIT EUROPEでは、メディア業界の役員150名以上が、個人情報が注目を集めるいまの課題について話し合った。このセッションは、記録には残すが発言者や所属企業を特定可能な情報は伏せるチャタムハウスルールで行われた。本記事では、セッションのなかでも重要な内容をいくつかご紹介しよう。
データ規制
2016年に採択され2018年5月から導入された欧州のGDPRだが、その解釈はパブリッシャーやベンダーごとに大きく異なっている。1月に導入されたカリフォルニア消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act: CCPA)と合わせて、パブリッシャーはさまざまなデータ法への対応に追われている。
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あるパブリッシャー役員は「厳密に遵守しようとした結果、大きな収益を失うことになった」と述べている。「2月の最終週に3カ国を訪れたが、(GDPRに基づくユーザーの同意については)3カ国でやり方はそれぞれ異なっていた。最終的に一番制限の少ない方法を採用することにした」。
別の発言者は、英国の個人情報保護監督機関である「ICO(Information Commissioner’s Office:情報コミッショナー局)ですら答えられない」と述べている。「彼らのほうから質問されることもあるが、業界への影響について認識が足りていないように思える」。
数字の強み
GoogleはサードパーティCookieを2022年までに段階的に廃止すると発表しており、デジタル広告業界はその対処にも追われている。ブラウザ側の力が増すなか、パブリッシャー各社でより密に協力して対抗する流れが生まれつつある。
だがこれまでの歴史的を振り返ると、パブリッシャー同士の連携はうまくいかないケースが多かったとする声もある。あるパブリッシャー役員は「問題は10年後も解決しないのではないか」と語る。「ただこれまでと違うのは、協力しないパブリッシャーに未来はないという点だろう。選択の余地はなく、成功させなければならない」。
また、パブリッシャー間の連携に対する希望の声も聞かれた。
「パブリッシャーは協力して力を取り戻さなければならない」と、ある参加者は語った。「個人的に『広告ネットワーク』という言葉は誤解を招きかねないので使いたくないが、パブリッシャー同士が連携して拡大するという昔ながらのやり方が有効かもしれない。今後も残っていくIDはあるのだ」。
希望(渇望とも呼べる)の声もある一方で、今回のことで現実的に立ち回るべきだと指摘する意見もある。
「ブラウザは海のなかで血を嗅ぎ分けるサメのようなもので、小さなサイトのわずかなスペースであっても仲介して制御したがるものだ」と、ある参加者は語った。「サードパーティのCookieを排除しようとしているのは、それが大規模な収入源になりうると考えているからだ。ブラウザをただの箱から、コンバージョンを大規模に制御する存在へと変えようとしているのだろう」。
「一番の懸念は、解決策がないように思えることだ」と、別の役員は語った。「今後どうなるかGoogleが発表するまで待つほかない。嫌な話だが」。
アイデンティティの危機
サードパーティのCookieが廃止されたあと、オンラインのオーディエンスを識別し、収益の埋め合わせをする信頼性の高い手法となりそうなのが共通IDだ。
あるパブリッシャーは、AppleのブラウザSafariが「インテリジェント・トラッキング・プリベンション(Intelligent Tracking Prevention:以下、ITP)」を導入したことで、同ブラウザにおけるCPMが3分の1にまで落ち込んだという。「Chromeでも同じことが起きるのではないか。それによって閉業に追い込まれるパブリッシャーが多数でてくる可能性もある」と、同社の役員は述べた。「IDソリューションについてさらなる話し合いが必要だろう」。
一方、共通IDのベンダーや団体からの情報に懸念を覚えるパブリッシャーも存在する。
「(共通IDは)スケーラブルではないように感じる。共通の仕様のように謳っているが、実際は10社で同じ用に利用できるわけではない。大半はCookieに頼っているのだ」と、ある参加者は語った。「Cookieなら少なくともユーザー側で削除できたが、ブラウザのIDは簡単に削除できるわけではない。個人情報の観点でいえば、より悪いとも言えるのではないか」。
1にも2にも教育
また、Cookieが廃止され規制が強化された環境下で生き残るため、パブリッシャー独自の市場における存在価値をエージェンシーや広告主に伝えることが重要だとする意見が多かった。
「エージェンシーはFacebookやGoogleで購入することに慣れている。我々は規模の面でもデータ面でも彼らには及ばない。(エージェンシーは)近頃、パブリッシャーとの仕事の仕方が分かっていないように感じることが多い」と、ある参加者は語った。
また、ブランディングの研究も盛んになっており、有効な一方で諸刃の剣になりうると指摘するパブリッシャーもいた。「パブリッシャーにコストを押し付ける広告主やエージェンシーが多い。小規模キャンペーンにおいて我々が効率的であると示せるのは良いが、コスト面では厳しい」。
別の役員はパブリッシャー業界全体の課題として次のように述べている。「各社とも、ファーストパーティやサードパーティのデータに依存しなくても効率的にメディアを購入できるようにマーケターを教育すべきだ」。
Lucinda Southern And Lara O’Reilly(原文 / 訳:SI Japan)
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March 17, 2020 at 02:50PM
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