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トルコ強硬、露は対応苦慮 アルメニア・アゼルバイジャン衝突、停戦以後で最大規模に - 産経ニュース

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 【モスクワ=小野田雄一、カイロ=佐藤貴生】南カフカス地方の旧ソ連構成国、アルメニアとアゼルバイジャンの係争地、ナゴルノカラバフ自治州で続く両国の戦闘は死者が少なくとも170人を超え、1994年の両国停戦以降で最大規模の衝突となった。トルコが支援するアゼルバイジャン側は、国際社会の求める戦闘停止の呼びかけに応じず、強硬姿勢を貫く。アルメニアの後ろ盾であるロシアは有効な手立てを打てずに苦慮している。

 自治州を実効支配するアルメニア側は2日、9月27日の戦闘開始以降に157人の兵士が死亡したと発表。複数の民間人の死者も報告している。アゼルバイジャンは民間人19人が死亡したとしている一方、兵士の被害は公表していない。

 両国は「戦闘開始の責任は相手にある」と非難し合っているが、第三国の専門家の間では、戦闘の数日前から境界線に部隊を集結させ、戦闘直後に州内に進軍したアゼルバイジャンが主導したとの見方が強い。産油国の同国では新型コロナウイルス禍による原油価格の下落で経済情勢が悪化しており、国民の不満を外部にそらそうとしたとの分析も出ている。

 戦闘は同州内にとどまらない。アルメニアは1日、本国への砲撃被害があったほか、首都エレバン近郊で無人機4機を撃墜したと発表した。

 戦闘の激化を受け、両国和平の仲介役を担ってきた米露仏3カ国は1日、即時停戦を求める共同声明を発表。しかしトルコのエルドアン大統領は「停戦にはアルメニア側の同州からの退去が必要だ」とし、聞き入れる構えを見せていない。

 トルコは同じイスラム教国で民族的にも近いアゼルバイジャンを友好国とする一方、アルメニアとの間にはオスマン帝国時代の民族・宗教対立などからくる遺恨がある。トルコがシリア民兵を組織して派兵し、航空支援を行っているとの情報もある。旧オスマン帝国領への影響力拡大を図っているトルコには、紛争への介入を通じて資源国アゼルバイジャンを取り込みたいとの思惑が透ける。

 一方、アルメニアの同盟国であり、アゼルバイジャンとも武器輸出などで関係を持つロシアは難しい立場に置かれている。

 ロシアは勢力圏とみなす南カフカスの不安定化や、北大西洋条約機構(NATO)の一員であるトルコとの衝突を警戒し、介入には慎重姿勢を取っている。

 ただ、ロシアは自国主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO)に加盟するアルメニアの防衛義務を持つ。アルメニア本国への攻撃が拡大した場合にはロシアも対応を迫られる。出方次第では、同盟の盟主としてのロシアの威信低下は避けられない。

 今回の戦闘が勃発した背景には、シリア内戦やリビア内戦でそれぞれ敵対勢力を支援するロシアとトルコの関係悪化があった可能性もある。トルコの強硬姿勢を前に、ロシアがナゴルノカラバフをめぐって妥協を余儀なくされるとの見方も出てきた。

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