【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領が29日の大統領選のテレビ討論会で、白人至上主義を非難しなかったことに波紋が広がっている。与党・共和党上院で唯一の黒人であるティム・スコット議員は30日、「正すべきだ」と語り、白人至上主義を明確に否定するよう求めた。
トランプ氏は討論会で、黒人差別への抗議デモの一部が暴徒化した問題について「右派の問題ではない」と指摘。白人至上主義を批判するかとの問いに正面から答えなかった。共和党上院トップのマコネル院内総務は「私は白人至上主義を最も強く非難する」と語り、トランプ氏の対応を暗に批判した。
これとは別にトランプ氏は討論会で、白人至上主義団体に近いとされる極右団体「プラウド・ボーイズ」に関し「下がって待機せよ」と述べ、過激な活動を容認するかのような発言もした。
民主党の大統領候補であるバイデン前副大統領は30日、中西部オハイオ州で記者団に対し、プラウド・ボーイズについて「なくなるべきだ」と強調した。反発が広がるとトランプ氏はホワイトハウスで「誰だか知らなかった」と語り、釈明に追われた。
トランプ氏は2017年に「白人至上主義者にも良い人はいる」との見方を示し、与野党を問わず猛反発を浴びた。この発言を受け、支持率が大統領在任中で最低水準にまで下がった。早期の釈明には11月の大統領選を間近に控えて、ダメージを最小限にとどめたい意向が透ける。
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