新型コロナ感染拡大以降、テレワークに切り替えたものの、うまくいかなかった企業もある。ある調査では、緊急事態宣言後にテレワークを取りやめた会社が約26%存在している。テレワークを阻害する一番の原因はコミュニケーション。コロナ以前からリモートワークが定着している会社はどのようにその課題をクリアしているのか、3社の課題解決策を見ていこう。
テレワークは継続がむずかしい実態
新型コロナウイルス感染拡大を受け、多くの企業がテレワーク化した。しかし、必ずしもテレワークはうまくいったわけではなさそうだ。
東京商工リサーチが2020年7月14日に発表したコロナ禍が企業活動に与える影響などまとめた調査結果によれば、企業の約4分の1がテレワークを実施したにもかかわらず、その後に取りやめてしまったことが分かった。
調査は6月29日~7月8日、インターネットによるアンケート形式で実施。全国1万4,356社の有効回答から現状を分析したもの。
在宅勤務を「現在、実施している」は、31.0%であった一方、「実施したが、現在は取りやめた」は26.7%に上った。
企業規模別でみると、大企業では55.2%が「現在、実施している」と回答したのに対し、 中小企業では26.1%にとどまった。東京商工リサーチの分析によると、社内インフラの整備、人員充足度といった業務オペレーションの違いが背景にあるのではないかとのことだった。
テレワークを阻害する要因
テレワークはそう簡単に継続できるものではないことが分かる。では、何が継続を阻んでいるのか。
日経BP総研イノベーションICTラボによる「新型コロナ対策テレワーク実態調査」では、テレワーク利用を阻害する要因が判明している。そのうち、最も多かったのが「同僚(上司や部下を含む)とのコミュニケーションに支障がある」で37.3%だった。
2位以下は「書類・伝票類(紙)を取り扱う業務(捺印、決裁、 発送、受領等)をテレワークの対象とできずに不便」と「出社しないことで、心身を仕事モードに切り替えることが難しい」、「自宅での業務用スペース(書斎、作業用机等)の確保が難しい」の3つがほぼ同じ割合の31%前後で続いた。
環境が変わったことによるワークフローやメンタル面の障害のほか、一番の課題はコミュニケーション面であるようだ。
テレワークが定着する3社が実践していること
そこでコロナ以前からリモートワークを実施している3社が、コミュニケーション課題をどのようにクリアしているのかヒントを探った。
1.キャスター株式会社~コミュニケーションとワークフローの整備
スタッフ約700人全員がリモートワークで知られる総合人材サービス企業、キャスター。成功の秘訣は、何よりコミュニケーションとワークフローの整備にあるようだ。
コミュニケーション面では、メールや電話のみだと十分な意思疎通は難しいため、チャットツールやWeb会議ツールを導入することも必要だという。また、営業担当がオンラインで商談していたとしても、請求書や契約書の発行が紙で行われていると、結局は出社しなければならないということもあるため、業務のプロセ スごとにリモート化する方法を考える必要がある。
「実際の企業に話を聞くと、人事制度やセキュリティなどにリスクを感じて、リモートワーク導入に踏み出せないところも多いです。リモートの課題は導入して分かることも多いので、挑戦して感じた課題を一つずつ解決することが、成功のポイントではないでしょうか」(キャスター担当者)
コミュニケーションとワークフローは、特にやってみないとわからないところもある。一つ一つ課題を解決していく忍耐と猶予が必要。緊急のテレワークでは、それができる企業は限られるのかもしれない。
2.スマートキャンプ株式会社~ツール活用のセルフコーチング
上司や先輩社員からの指導やコーチングが必要になる場合に、リモートではコミュニケーションに大きな障壁がある。そこで、あえて「セルフコーチング」の仕組みを作ることで課題解決したのがスマートキャンプだ。
北海道支社では、インサイドセールス支援を行うオペレーターの出社率が半数(コロナ禍では全員)になるよう、在宅フルリモート勤務を行っている。もともと、東京オフィスでフルリモートの体制で組織を立ち上げたが、次第にメンバーごとのトークスキルや成果の差が目立つようになった。そこでリモートでのコーチングを実施したが、オペレーターの記憶頼みの報告になってしまい、記憶違いや「言った・言わない」の水掛け論が起こったり、意図の取り違いをするなど多くのコミュニケーションロスが発生したりと、様々な課題があった。
そこで事業拡大のタイミングで、北海道にオペレーション拠点を立ち上げ、この課題を解決する目的で、AI搭載クラウドIP電話「MiiTel(ミーテル)」というツールを導入した。「MiiTel」では、電話営業・コールセンターなどの業務上の電話内容を録音し、話す速度、会話のかぶせ率、やり取りの回数などをAIが解析することで、通話内容の質を可視化し、通話のレベルを向上させることができる。ダッシュボードには客観的な評価が表示されることから、スタッフ自身が、「ここの言い回しが良くなかったかもしれない」、「話すスピードが早すぎたのかな」、「話し方やトーンは適切だろうか」と、自身の会話を振り返り、セルフコーチングできるトークスキルが向上する仕組みだ。
コーチなし、コミュニケーション不要で、自ら成長する。ツール活用によりボトムアップした好事例だ。
3.株式会社Queue~「透明性・信頼性・モチベーションの維持」
全従業員数60人程度の株式会社Queueは、リモートワークを導入して4年ほど。リモートワークの課題解決に必要なキーワードは「透明性・信頼性・モチベーションの維持」の3つだと見極めた。
情報をリモートワークでも可視化して、透明性を保ち、疑うのではなくまずは上司部下、部下上司が、お互いを信頼して働くことのできる環境を実現するという。これによりモチベーションが維持される。
環境については、30前後のSaaSツールを利用。例えばドキュメント管理ツールの「Notion」、会話別のスレッドを立てることができる「Twist」、タスク共有・コミュニケーションツールの「remonade」などだ。どんなやりとりがされてどんなコミュニケーションが取られているのか、誰でもアクセスができるような状態を作っておけば信頼度が高まり、不信感を抱かない環境にしていくことができるという。
テレワークは継続がむずかしい。一歩一歩課題を解決していくことが成功への近道であり、ポイントを絞って対策を立てていくことで、成果を出すことは可能であるようだ。また、環境整備においてはツールをよく選ぶことが重要といえる。
Information
スマートキャンプ株式会社
https://smartcamp.co.jp/
株式会社キャスター
https://caster.co.jp/
株式会社Queue
https://prtimes.jp/story/detail/ErQ27WSkQbJ
取材・文/石原亜香利
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September 01, 2020 at 05:39AM
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