メリノウールは世界的なマイクロプラスチック問題の解決策になる可能性があることが研究結果により判明。
メリノウールの新たな研究結果
ザ・ウールマーク・カンパニーの新たな研究により、メリノウールは海洋プラスチックごみの問題の要因にはならないことがわかった。
「マイクロファイバー汚染とウールの海洋生物分解」と題された科学的研究において、未加工のウールとマシン・ウォッシャブル・ウールの両方が海洋環境で容易に生物分解するのに対し、合成繊維はそうではないことが判明した。この調査によって、実際にマシン・ウォッシャブル・ウールは、未加工のウール生地よりも速い速度で生分解することが分かり、また加工済みウールのポリアミド樹脂コーティングがマイクロプラスチック汚染に影響を与えるという証拠は見られなかった。
以前の推定では、海洋環境におけるすべての主要な発生源のマイクロプラスチックの20〜35%が合成繊維の衣類の使用によるものであり、単一のポリエステル・フリースの衣類では1回の洗濯あたり1900マイクロファイバー以上が生産され得るとされていた。この最新の研究では、研究者らは海水中における2種類のメリノウールの生分解性をビスコース・レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンの生分解性と比較。残留物は、エレクトロン電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分光法を使用して検査された。
部分的な衣服の寿命をシミュレーション
部分的な衣服の寿命をシミュレーションするために、テスト前にすべての布地を繰り返し洗浄し、次に生分解の速度を、容易に生分解することが知られている物質であるクラフト紙パルプと比較。そして研究者らは、未加工のウールがパルプの20.3%の速度で生物分解し、マシン・ウォッシャブルが可能なウールが3倍以上の速度、約67.3%で生物分解したことを発見。
最も低いのはナイロンであり、わずか0.8%の割合で生分解し、次に低い素材としてポリプロピレンとポリエステルが続いた。
マイクロファイバーに焦点を当てメリノウールを研究
「ウールとマイクロプラスチックの研究は、2016年にマイクロプラスチック汚染に関する現在の認識の状況を調査し、テキスタイル製品から出るマイクロファイバーに焦点を当てることから始まりました」とザ・ウールマーク・カンパニー、マネージング・ディレクターのスチュアート・マカラック氏は説明する。「この最初の研究体は、衣服のライフサイクル・アセスメントのうち使用段階におけるマイクロファイバーの放出について説明するために、方法論開発を改善するプロセスを開始した。
この最新の科学的研究は、特定のテキスタイル製品が私たちの環境に与えるダメージを調査する一連の重要な研究に大きく寄与するものだ。ウールは長い間、エコファイバーの先駆けとされてきたが、ウールに施されたマシン・ウォッシャブル仕上げと、それがマイクロプラスチック問題の一因となるか否かについて懸念が高まっていたため、そうした課題を明確にしたいと考えたという。
状況が常に変化するこのような困難な時期には、消費者が環境汚染への影響を理解した上で、どのように購買意思を決定するかを考慮することが重要だ。メリノウールなどの天然繊維を選ぶことは、重要なスタート地点だ。
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