所有者不明土地の解決策はサブスクリプションにある!? vol.3
片野洋平(明治大学 農学部 准教授)
最近、日本全国の所有者不明土地の面積は九州全土を上回る、などという報道がなされ、人々に衝撃を与えました。所有者不明の土地がなぜ生まれるのか、それはどんな問題を引き起こすのか。そして、どう対策すれば良いのか。この問題に長年たずさわってきた研究者が本学におります。
◇昔の日本にあった土地をサブスクリプションする知恵
政府も、登記の義務化や、所有者不明土地をなんらかの条件の下で売却できるような制度を検討しています。しかし、それらが決定的な解決策になるかといえば、難しいと思います。
おそらく、人口も経済も右肩上がりに成長することが前提であった日本社会の様々な制度が立ちゆかなくなっているのです。
土地も、需要が下がることはなく、価値は上がり続けるという土地神話が信じられてきました。
しかし、それを前提にしていては根本的な解決策は見出せません。実際、地方では、土地を売ろうにも買い手がいない状況になっているのです。
例えば、最近、高級ブランド品や自家用車でもサブスクリプションが広がり始めています。必要なモノを必要な時だけ、必要な人の間でシェアしていくのです。高度経済成長期には、「所有」することが成功の証であった価値観や考え方が変わりつつあるのです。
住居も、持ち家が目標であったような考え方から、一生、賃貸の方が良いという考え方も広がり始めています。
社会が変わっていく中で、消費者も生活者もそのスタイルを変えつつあるのです。いま、必要なのは、旧来の所有のあり方から解放された制度なのかもしれません。
そのひとつの方策として、私が関わっているのが鳥取県の日南町の取り組みです。
この町でも、所有者不在の土地は問題となっていました。そこで、町では、山林の寄付を受けつける取り組みを始めたのです。
所有者にとっては、管理や納税の負担から解放されますし、子孫に負担を継承させないで済みます。
町では、引き受けた山林でなにができるのかはまだ検討中ですが、まず、負担を抱えて苦しむ住民を「かつては同じ村の仲間だったではないか」という共同体的発想から救済すること、土地が放置され地域が荒れることを防ぐのが、自治体としてすべきことであろうと考えたのです。
もちろん、これがベストの方策だとは思っていません。
土地を活用できるときは所有し、いらなくなったら自治体に引き取ってもらう、というのは身勝手だという批判もあります。確かに、自助が基本であると思います。
一方で、自治体が引き受けることで、その土地を村落の共有スペースにしていくような仕組みがつくりやすくなるかもしれません。勇気をもってかなりわかりやすく、現代風に言えば、土地をサブスクリプションするような仕組みです。
江戸時代、日本の村落には入会地という共有地がありました。
そこは、村に暮らす住民が共同で活用できるコミュニティスペースであり、村を出て行った人には、その権利がなくなる仕組みでした。つまり、権利がなくなるとともに、管理などの負担もなくなるのです。
そうした仕組みが、当時の社会にはフィットしていたのだと思います。
明治以後、個人の所有権を重視する制度が取り入れられていく中で入会地は廃れていきますが、これまでの価値観や仕組みが行き詰まっているような現代の社会にとっては、こうした昔の社会の知恵を、もちろん現代にマッチした形で取り入れていくことも、ひとつの方策なのかもしれないと思います。
※取材日:2020年1月
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May 21, 2020 at 10:09AM
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